急性外耳炎(きゅうせいがいじえん)|耳の痛み、かゆみ、さわり癖、耳だれ など
こんなお耳のトラブルはありませんか?

子どもが耳を痛がっている。



耳に痛みと耳だれが出てきた。耳をひっぱると痛い。
このような経験はないでしょうか。
急性外耳炎の可能性があります。耳かきや補聴器・耳栓・イヤホンなどの使用、水泳などが誘因となって外耳に感染することで生じます。
症状は急性中耳炎とも似ていることがありますが、治療が異なりますので耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
ここでは急性外耳炎について解説します。


にわ耳鼻咽喉科クリニック
丹羽 正樹 副院長
愛知県犬山市羽黒で4代続く医師の家系として生まれ育ち、この故郷の医療に貢献します。
【所属・資格】
日本耳鼻咽喉科頭頚部学会 専門医(第13830号)
厚生労働省 補聴器適合研修会修了(第4230号)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医(登録番号 第7141号)
■急性外耳道炎とは


「外耳」とは耳の穴から鼓膜までの空間のことを言います。
外耳炎(がいじどうえん)とは、その「外耳」の皮膚に炎症が起きている状態です。
耳の穴の皮膚は非常に薄くデリケートであるため、わずかな刺激でも傷がつきやすく、そこから細菌やカビ(真菌)が入ることで炎症が起こります。
■症状
- 耳たぶをひっぱると痛い
- 耳から液体が出てくる
- 耳の入り口を押すと痛い など
■原因
- 耳掃除:綿棒や爪、耳かきでお耳を頻繁に触り、皮膚を傷つけてしまい、そこから感染します。
- 水泳、シャンプーの薬剤などの刺激:プールやお風呂の後に耳に水が残ったまま放置したり、薬剤の刺激で皮膚が傷つき感染します。
- 補聴器・イヤホン・耳栓:長時間の装着により耳の奥が密閉・湿潤し、さらに皮膚を摩擦し傷がつくことで感染します。
当院の副院長は『補聴器相談医』『補聴器適合判定医』の資格を有しております。補聴器でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
■受診から治療までの流れ
いつから痛むか、耳掃除をよくするか、イヤホンや耳栓の使用頻度、耳だれの有無などをお聞きします
耳の中や鼓膜の状態を顕微鏡や内視鏡で確認します。
カメラで耳の中を撮影し一緒に確認していただきます。
症状に合わせて軟膏や抗生剤の点耳薬(お耳の中に入れる薬)を処方します。
症状が強い場合は抗生剤の飲み薬を使用することもあります。
飲み薬による治療よりもまず点耳薬など局所的な治療が優先される点が急性中耳炎と異なります。
耳の状態によっては耳の中をぬるま湯で洗う処置をします。
特に原因が真菌(カビ)の時は処置のために通院が何度も必要になることもあります。
痛みが強いときは痛み止めの飲み薬も処方します。
■ただの外耳炎ではない?治療が長引く場合に専門医が見極める「3つの隠れた原因」
「薬を塗っているのに良くならない」「耳の奥がずっとズキズキ痛む」といった場合、一般的な外耳炎(細菌感染)とは異なる、専門的な治療や慎重な鑑別(見分け)が必要な病気が隠れていることがあります。
帯状疱疹の初期症状|初期に見分けが難しい病気
発症の初期段階では、皮膚に異常がなく「お耳の強い痛み」だけが生じるため、外耳道炎と見分けが非常に難しいことがあります。その後、お耳の穴や周囲に水ぶくれ(水疱瘡のような皮疹)が現れたり、顔の筋肉が動きにくくなる(顔面神経麻痺)といった特徴的な症状が出る場合があり、一刻も早い抗ウイルス薬などによる専門治療が必要です。
真菌(カビ)の二次感染|長引く・こじれる原因
最初は一般的な細菌性の外耳道炎や中耳炎であっても、抗生剤の点耳薬や内服薬を長く使い続けることで耳の中の環境が変わり、後から真菌(カビ)による感染を続発してしまうことがあります。この場合、抗菌薬から抗真菌薬への速やかな切り替えとお耳の徹底的なクリーニングが必要です。
外耳道がん|極めて稀ながら慎重な見極めが必要な病気
外耳炎の治療を長期間行っても全く改善しない、あるいは悪化をたどるような「極めて難治性」の場合、ごく稀に外耳道がん(お耳の穴にできる悪性腫瘍)などの疾患が隠れている可能性を考慮する必要があります。外耳道がんと慢性外耳道炎は見た目での見分けが難しい場合があり、適切な時期に生検(精密検査)や高次医療機関へのご紹介も含めた、正確な臨床判断が求められます。
■ご自宅での対処:外耳炎になったときは
夜間などに発症した場合、緊急の受診は必要ありませんが、翌日の受診まではホームケアをおすすめします。
翌日早めに耳鼻咽喉科を受診し、医師の指示にしたがって、しっかり治療していきましょう。
痛い(子どもが痛みを訴える)とき
・市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)を使う。 (※ 必ず用法/用量を守ってください)
・耳を冷やす (痛みが和らぐことがあります)
耳だれ(膿)が出るとき
外に垂れてきたものだけを優しく拭き取る。決して耳の奥を引っかいたり耳かきをしないでください。
■予防:外耳炎にならないために
1. 耳かきは「月に1〜2回、手前だけ」にする
外耳炎の圧倒的に多い原因は、「耳のいじりすぎ(耳かきのしすぎ)」です。
- 耳垢は勝手に出てくる: 耳の皮膚には、古い耳垢を自然と外へ押し出す自浄作用があります。そのため、奥まで一生懸命掃除する必要はまったくありません。
- 触るのは入り口だけ: 耳かきや綿棒を使うのは、月に1〜2回、入り口から1cm程度の、見えて手が届く範囲を軽く拭うだけで十分です。
- かゆい時の対処法: 耳の中がかゆい時に耳かきでゴシゴシ擦ると、微細な傷がついてさらにかゆくなり、悪循環(外耳炎のループ)に陥ります。かゆい時は、耳の入り口を外側から冷やすか、どうしても気になる場合は触らずに耳鼻咽喉科を受診してください。
2. 耳の中に「水分」を残さない
プール、お風呂、シャワーの後に耳の中に水が入ると、皮膚がふやけて傷つきやすくなり、細菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
- 優しく吸い取る: 耳に水が入ったら、頭を傾けて水を抜いた後、清潔な綿棒を耳の入り口に軽く当てて、水分を吸い取らせるだけにしてください。奥まで押し込んで拭き取ろうとするのは逆効果です。
3. イヤホンや耳栓の「長時間使用」を避ける
近年、リモートワークや音楽視聴などで、イヤホンを長時間つけている人が増えています。これも外耳炎のリスクを高める要因です。
- 耳の中を密閉しない: イヤホンを長時間つけていると、耳の中が蒸れてしまい、細菌が好む「高温多湿」な状態になります。
- こまめに外して休憩する:定期的にイヤホンを外し、耳の中を乾燥させる時間を作ってください。
- イヤホン自体を清潔に: 耳に触れるゴム(イヤーピース)の部分には、目に見えない雑菌が付着しています。定期的に除菌し、清潔に保ちましょう。
■よくある質問(FAQ)
参考文献:
・ 新耳鼻咽喉科学 (改訂11版)
・ 今日の耳鼻咽喉科・頭頚部外科治療指針 第4版・米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会(AAO-HNS)(https://www.entnet.org/quality-practice/quality-products/clinical-practice-guidelines/cerumen-impaction)
・日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会(https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=20#cyuji)
