2026年11月に移転開業予定。

滲出性中耳炎(編集中)

滲出性中耳炎(耳が聞こえにくくなるタイプ)

「中耳炎」 皆様も一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

一言に「中耳炎」といっても「急性中耳炎」「滲出性中耳炎」「真珠腫性中耳炎🔗」「好酸球性中耳炎🔗」など多くの種類があります。
子どもで特に多いのが「急性中耳炎」(耳が痛くなるタイプ)と「滲出性中耳炎」(聞こえにくくなるタイプ」です。
ここでは「滲出性中耳炎」(耳が聞こえにくくなるタイプ)について解説します。

ページ監修

にわ耳鼻咽喉科クリニック 
丹羽 正樹 副院長

愛知県犬山市で4代続く医師の家系として生まれ育ち、この故郷の医療に貢献します。

【所属・資格】
日本耳鼻咽喉科頭頚部学会 専門医(第13830号)
厚生労働省 補聴器適合研修会修了(第4230号)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定 補聴器相談医(登録番号 第7141号)

著者の「故郷への思い」、詳しい経歴・論文発表実績はこちら

■滲出性中耳炎とは

鼓膜の奥(中耳)に液体がたまってしまう病気です。痛みや発熱がないのが最大の特徴です。
小学校に上がるまでに約90%の子どもが経験すると言われており、お子さまの難聴の原因として、最も頻度が高い疾患です。
大人でも発症することがあります。

■症状

音が聞こえにくくはなりますが、痛みや発熱がないため、子どもの場合は自分で症状を訴えないことも多いです。
気づきにくい病気なので、ご家族が以下のようなサインに注意してあげてください。

  • 音への反応
    呼びかけても返事をしない。何度も聞き返す。テレビの音が大きい。
  • しぐさ
    耳をしきりに気にする。
  • 言葉
    言葉の発達が遅い、発音がはっきりしない。

    ■原因

    主に鼻と耳をつなぐ管(耳管)の働きが悪くなることが原因になります。

    子どもの場合:

    ・耳管が未熟

    ・急性中耳炎🔗

    ・副鼻腔炎(蓄膿症)🔗、アレルギー性鼻炎🔗、アデノイド(鼻の奥の扁桃組織)のはれなど

    ・鼻をすする

    などにより滲出性中耳炎になったり、症状が悪化したりします。

    大人の場合:

    ・上咽頭の腫瘍(上咽頭がん🔗)

    上咽頭に出来た腫瘍によって耳管が閉塞することが原因となります。(矢状断のイラスト 上咽頭とアデノイドと耳管の位置が分かるように)

    ・加齢

    加齢による耳管の機能低下が原因となります

    ■診察や検査

    当院では、お耳の状態を客観的に評価するために以下の検査を行います。

    ・鼓膜の観察: 顕微鏡や内視鏡を使い、鼓膜の状態を確認します

    ・ティンパノメトリー: 鼓膜に圧力をかけて、鼓膜の動きやすさを調べます。

    ・聴力検査: 聞こえへの影響を確認します。(年齢によっては検査出来ないこともあります)

    ・鼻腔内視鏡検査:耳管の出口あたりに腫瘍などの異常がないか、鼻から内視鏡を入れて診察します

    ■治療法

    ・お薬の治療

    鼻の状態を整える薬や、耳の水の排出を助けるお薬などを使います。

    ・自己通気

    専用の風船を鼻で膨らませ、耳に空気を送る練習をしてもらうことがあります。

    ・鼓膜切開(穿刺)

    鼓膜を切ったり針を刺して中耳にたまった水を抜きます

    鼓膜換気チューブ留置術

    難治の方や両側とも難聴がある場合などは鼓膜に換気用のチューブを入れる手術(鼓膜換気チューブ留置術)を検討します。(適切な医療機関に紹介させていただきます)

    ■リスク

    痛みがないため気づきにくい病気ですが、放置してしまうと、以下のようなリスクがあります。

    ・言葉や学習への影響: 

      ・言葉の発達の遅れ

      ・集中力の低下

    聞こえが悪い、言葉が聞き取れない状況が続くと、社会性に影響することもあります。

    ・疾患の進行:

     「癒着性中耳炎」や、「真珠腫(しんじゅしゅ)性中耳炎🔗」という、重い病気に進展することがあります。

    ■ご自宅での対処:中耳炎になったときは

    ・耳だれ(膿)が出る場合

     ・外に垂れてきたものだけを優しく拭き取る

    ・鼻水が出る場合

      ・鼻をすすると悪化することがあります

       可能なら鼻かみ/鼻吸い(鼻水吸引)を行ってください

    滲出性中耳炎は、痛みや発熱がないため気づきにくい病気です。

    元気になったように見えても、自己判断で受診を控えたり、治療をやめてしまうのは大変危険です。

    まずは早めの受診を。

    その後は医師の指示にしたがって、しっかり治療していきましょう。

    ■予防:中耳炎にならないために

    ・鼻をすすらない:

    鼻をすすると中耳炎になりやすいため、鼻をかめるようにしましょう。

    鼻かみが難しければ鼻吸い(鼻水吸引)をしてあげましょう。

    受診が可能であれば、鼻吸いだけでも気軽にご来院ください。

    ・受動喫煙を避ける:

     タバコの煙は中耳炎を長引かせる要因になります。

    ご家族の方は禁煙を心がけましょう。

    ご希望があれば、禁煙外来のある他院への紹介も可能です。(当院では禁煙外来は行っていません)

    子どもが鼓膜にチューブを入れました。いつ頃抜けばよいですか?長いこと入れていても大丈夫ですか?

    チューブの留置期間は、特別な治りにくさ(リスク)がないお子様の場合、通常「2年程度」が目安とされています。ただし、お子様の状況により長期留置も検討されますので、具体的な抜去のタイミングについては、耳の状態や経過を踏まえて主治医と相談してください

    小児滲出性中耳炎 診療ガイドライン 2022年版によると、特別なリスクがないお子様の場合、通常は2年程度での抜去が検討されます。
    これは、3年以上入れると「鼓膜に穴が残るリスク」が高まるためです 。チューブを3年未満で抜去した場合、鼓膜に穴(穿孔)が残る確率は約3%ですが、3年以上入れたままにするとそのリスクは15%にまで上昇するという報告があります。
    しかし、ダウン症や口蓋裂を伴うお子様、あるいは中耳炎を何度も繰り返して治りにくい(難治性)と判断されるお子様などは、耳の状態を優先して通常よりも長い期間チューブを入れておくことが検討されます
    定期的に通院し、適切な抜去時期に関しては主治医と相談してください。

    参考文献:小児滲出性中耳炎 診療ガイドライン 2022年版 

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