2026年11月に移転開業予定。

良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症(BPPV)について

「起き上がったら急に目の前がぐるぐる回った」
「寝返りを打った時に強いめまいがする」
このような、頭の位置を変えたときに景色が回転するような(流れるような)めまいで最も多い疾患が「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」です。 めまいを訴える患者さんの約40%を占める、頻度の高い病気です。難聴や耳鳴などの聞こえの症状や神経症状(ろれつが回らない、手足が動かしにくい、顔が動かしにくいなど)を起こさないのが特徴です。

発症時は強いめまいを伴うことが多く、小脳の脳梗塞の可能性もあるため注意が必要ですが、「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」は自然治癒が期待できる疾患です。

1. 症状について

  • 特定の動作で起こる 寝返りを打つ、起き上がる、上を向く、下を向くなど、頭を動かした瞬間に始まります。
  • 持続時間が短い めまいの多くは数秒〜数十秒で、1分以内に収まることがほとんどです。(景色が動くようなめまいの後にふわふわした感じや気持ち悪さはしばらく続くことがあります)
  • 耳の症状がない めまいと一緒に難聴や耳鳴り、耳が詰まった感じがすることはありません。
  • 繰り返すと軽くなる 同じ動作を繰り返すと、徐々にめまいが軽くなる特徴があります。

2. 原因について

耳の奥(内耳)には、体のバランスを司る「三半規管」と、重力や加速度を感じる「耳石器(じせきき)」があります。

「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」は、この三半規管の中に、耳石器から剥がれ落ちた耳石(じせき)が入り込んでしまうことで起こります。

三半規管の中に入り込んだ耳石が、三半規管を刺激して、脳に『回転している』という誤った信号を送り、勝手に眼を動かしてしまうことで、激しいめまいが起きてしまうのです。

耳石が剥がれる原因はまだわかっていないことが多いですが、骨粗しょう症・ビタミンD不足・高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病、頭部外傷、片頭痛などがリスク要因だと考えられています。

3. 診察や検査について

診察の際は、脳梗塞や突発性難聴など、めまいを起こす他の疾患ではないかを一つずつ確認していきます。正しく診断を行うため、ご協力をお願いします。

・全身の診察
ろれつが回らない、手足や顔が動かしにくいなど、めまい以外の症状がないか診察します。

・耳の診察
中耳炎による炎症などがないか、耳の中を診察します。

・眼の動きの診察
頭を特定の方向に動かしたときの、眼の動き(眼振)を確認することで、三半規管のどこに耳石が入り込んでいるかを推定します。
診察時に強いめまいや嘔気が誘発されることがあります。

・重心動揺検査
開眼時・閉眼時の体のバランスを検査します。
ふらつきの原因の推定(内耳の障害、脳疾患、心因性など)のために行います。

・聴力検査
聴覚異常を確認し、突発性難聴🔗やメニエール病🔗といった他のめまい症ではないかを確認します。

4. 予後について

基本的に「良性」の病気であり、自然に治ることも多い疾患です。

早いものだと平均9日で治癒しますが、中には治癒まで平均39日掛かる治りにくいものもあります。

【脳梗塞や突発性難聴など、早急な治療が必要な疾患との見分けもつきにくいため、自己判断は禁物です。早めの受診をおすすめします。】

5.治療について

耳石置換法(理学療法): 頭を特定の順序で動かすことで、三半規管に入り込んだ耳石を元の場所に戻す治療法です。高い改善効果が報告されています。
自宅でのリハビリ: 自宅でもできる、めまい体操を提案します。
お薬: めまいが強く吐き気がある場合には、症状を和らげるためにお薬を処方することがあります。

頸椎や腰部に異常がある、急性期で吐き気が強いなど、頭や体を動かすのがつらい事情がある場合には、安静や抗めまい薬による経過観察を行うこともあります。症状やご事情に合った治療を行いますので、お気軽にご相談ください。

6. 再発と予防について

BPPVは、治療後に約50%の方が再発すると言われています。 予防やリスク管理として、以下のことが挙げられます。

  • 骨の健康管理: 骨粗鬆症やビタミンDの不足は発症のリスクを高めるとされています。
  • 適度な運動:日常的に有酸素運動などの体を動かすことが大切です。
  • 睡眠時の頭の向き: いつも同じ側を下に寝る癖がある方は、反対側を向くなどの工夫が有効な場合があります

などを意識して、予防やリスク管理を行っていきましょう。

7. 難治例・特殊例への対応

・通常の耳石置換法で改善しない
・1ヶ月以上治癒しない
・長く日常生活に支障をきたしている

といった難治例については、大きな病院に紹介して、MRIなどの画像検査を行うことがあります。

参考:良性発作性頭位めまい症(BPPV)診療ガイドライン 2023年版